ふくろう堂

書評や時事評論などを書いてゆきます。

8月上半期で読んだ本で面白かった順にランキング

上半期は仕事も少なく、家で本ばかり読んでいました。

その中で面白かった本を備忘録にするつもりでランキングにしたいと思います。

1位 

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

 

都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!? 大人気シリーズ第1弾のミリオンセラー。

東野圭吾のミリオンセラーです。読みやすさや個性的なキャラクターで個人的1位にランクインしました。ページをめくるスピードが、後半になるにつれて早くなっていったのを思い出します。

2位

マスカレード・イブ (集英社文庫)

マスカレード・イブ (集英社文庫)

 

ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾のミリオンセラー。

1位のマスカレード・ホテルの前日談です。山岸と新田の二人がマスカレード・ホテルで出会うまではどのような人物だったのかが描かれています。

3位 

日輪の遺産 (徳間文庫)

日輪の遺産 (徳間文庫)

 

終戦直前、帝国陸軍マッカーサーから奪った時価二百兆円に上る財宝が極秘裏に隠匿された。それは、日本が敗戦から立ちあがるための資金となるはずだった。そして五十年後、一人の老人が遺した手帳がその真相を明らかにしようとしていた―。終戦時の勤労動員の女生徒たち、密命を帯びた軍人など、財宝に関わり、それを守るために生き、死んでいった人々の姿を描いた力作。心地よい感動があなたを包む。

「日本の一番長い日」や「終戦のエンペラー」など終戦あるいは終戦直後を描いた作品は数多くありますが、その中でもこの作品はマッカーサーの財宝を巡る群像劇を描いており、徐々に明らかになっていくストーリーに目が離せません。

4位

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)
 

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

最後の10行で大どんでん返しをくらう作品です。この作品で描写される陵辱と殺戮はエログロの極致なのかもしれません。おすすめの作品です。

5位 

夢幻花(むげんばな) (PHP文芸文庫)

夢幻花(むげんばな) (PHP文芸文庫)

 

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。遺体の第一発見者である孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップする。
それを見て身分を隠して近づいてきたのが、警察庁に勤務するエリート・蒲生要介。ふとしたことから、その弟で大学院生の蒼太と知り合いになった梨乃は、二人で事件の真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた……。

黄色いアサガオを巡って、様々な思いが交錯する作品です。主人公とヒロインが大学生だからか、ミステリーかつ青春劇のような作品でもあります。

6位

ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)
 

映画にもなった有名な作品です。この作品は東野圭吾では珍しくミステリーというよりもファンタジー寄りの作品です。出てくる登場人物がみんな暖かい、そんな作品です。 

7位 

片想い (文春文庫)

片想い (文春文庫)

 

大学時代、ともに汗を流したアメリカンフットボール部の仲間たちとの同窓会。 エースQB(クォーターバック)だった西脇哲朗はマネージャーの理沙子と結婚していたが、二人の仲は最近うまくいっていなかった。 同窓会の帰り道、哲朗はもう一人のマネージャーだった日浦美月に十年ぶりに出会う。 昔から性同一性障害で苦しんできたという美月は、今は男として生きていると告げる。 そして、さらに衝撃の告白をする。「人を殺したんだ」 翌日、アメフト部のランニングバックで美月と付き合っていた中尾功輔が哲朗の家を訪ねてくる。 十年という歳月はかつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。 事件はなぜ起きてしまったのか? 真相にたどり着こうとする中で、次々と明らかになっていく苦悩に満ちた事実。 30代半ばを過ぎ、恋愛や結婚、仕事に行き詰まりながらも、過ぎ去った青春の日々を裏切るまいと再びフォーメーションを組む仲間たち。 最後に訪れる美月の、哲朗の、理沙子の、中尾の決断とは。そして“片想い"の意味とはーー。

ミステリーでもあるのですが、性同一性障害ジェンダーを扱っているためか少し社会派の作品でもあります。主人公の哲郎、その妻である理沙子、その家に転がり込んでくる性同一性障害に悩む美月の三角関係はどうなってしまうのか、魅力ある作品です。

8位 

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

 

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか---。

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。

東野圭吾の作品の魅力は登場人物が人間臭いことです。この作品も登場人物全員が人間臭く、それぞれに感情移入できる作品になっております。

9位 

新装版 8の殺人 (講談社文庫)

新装版 8の殺人 (講談社文庫)

 

大胆なトリックで本格ミステリーファンをうならせた傑作長編。建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、2人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する、デビュー作にして傑作の誉れ高い長編ミステリー。

上から見ると8の字になっている館で起こる殺人事件を描きます。なかなかミステリー小説に精通していないと難しい作品かもしれません。少なくとも私は難しかったです。

10位

レベル7(セブン) (新潮文庫)

レベル7(セブン) (新潮文庫)

 

レベル7まで行ったら戻れない――謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。ミステリー・サスペンスの最高峰、著者初期の傑作。

記憶喪失した男女の視点、失踪した女子高生の視点、その女子高生を探す女性の視点の三つの視点でストーリーが進んでいきますが、最後の展開がどうしても物足りないと感じてしまいます。

 

今は東野圭吾の「虚ろな十字架」を読んでいますが、それをまた次の機会にランキングにしたいと思います。